ニューヨークでミュージシャンとして活躍する一面、自閉症の子供と向き合う現実との戦い
by gakuandben
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タケカワユキヒデさんから推薦を頂きました!
 「自閉症の子供を持つ親が勇気づけられるだけでなく、自閉症のことをよく知らない人たちにとっても、とても意味のあるエッセイだと思います。
 また、生のニューヨーク事情も知ることもできる。なんとも、幾重にもお得な素晴らしいエッセイです。

プロフィール
高梨 ガク
64年東京生まれ。ベーシスト。18歳でプロ・デビュー後、90年に渡米。ソウル、ジャズ系の音楽を中心に幅広い音楽活動を続ける。ポリスターより自己のバンド
『d-vash』(ディバッシュ)”Music Is”が発売中。
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大西洋の海
親友のリチャード、ポーラ夫妻がニュージャージ海岸沿いのビーチ・ハウスを借りていて、お誘いを受けたので子供を連れて泊まりに入った。金曜に仕事の予定もなく、子供を連れてゆく場所にも煮詰まっていた時に絶好のタイミングの小旅行。車で2時間程の距離だが、平日の交通量はビーチの方向には少ないので好条件ばかりだ。

「ニュージャージーの海は奇麗で良いよ」みんなに言われてはいたけれど、今まで一度も行くチャンスが無かった。ビーチは良く行く方なのだが、やっぱりロング・アイランドになってしまう。何だか近い気がするのと、わざわざ他州のニュージャージーまで行く事は無いだろうという心理もある。ウチからの行程だとトンネルを通るというのも、海に行くというイメージを壊してしまう要因になっているのだろう。

今週の始めに行く日を決めて、ベンには2日前から行きたいかどうかを確認しておいた。そして、彼の中では「1泊旅行なら良い」という事になったようだ。何せベンはプール、水遊びは好きなのだが、海の中に入るということを凄く嫌がるのだ。理由を聞いてみると「It's too dangerous」ということなのだが、どうやら波にのまれてしまう心配の他に、映画などで見た海中生物に噛み付かれたり、食われるといったことを心配しているようにも思える。だから、ビーチではもっぱら日干しになるだけで、水に触れるとしてもサンダルを濡らす程度のものとなってしまい、持て余してしまうのだが、海の音や景色は好きなようで、最近では2時間くらいは楽しんでくれるようになってきたところ。

一度は通り過ぎてしまったほど小さなサインしか出ていないシャドウィック・ビーチは居住者か、ビーチ・ハウスに滞在している人以外はお金を払わないと入れないプライベートに近いビーチ。駐車場も殆ど無いことから人が少なく随分とのんびりとした雰囲気だ。到着早々歩いて3分ほどにあるビーチへ繰り出した。

いつも行くロング・アイランドのビーチとの大きな違いは、波が穏やかな事だった。いつも高い波をかいくぐって泳いでいて、大西洋は波が高いのかなと思い込んでいたが、ここはまるで日本の海のようにプカプカとした海水浴が出来る。下の子も波の怖さから、今までビーチで泳ぐことは一度も無かったのだが、今回始めて海での泳ぎを経験して喜んでいる。

ベンはいつものように、アイス・ボックスから冷たい水を飲んだり、時折歩き回っては立ち止まり、海を眺めていたり、まるで宗教の儀式でも行っているかのようにうつ伏せに寝そべって、砂をいじったりしている。それでも、何とか僕らの時間に合わせてくれるかのように、リラックスした時間を送っていた。

「ああ、来て良かったな」と思うのもつかの間、ベンは「Can I go home tomorrow ?」と質問し始める。大好きな本屋やビデオ店は近くに無く、持って来たコンピューターもインターネットが出来ないことに危機感を感じたのか、しつこく確認を繰り返し、しまいには「Can I go now ?」となってくる。

こんな時に役立つのが、ミス・ソンバイに教えていただいた、ビヘービアー・マネージメントのテクニックだ。「ベン。僕はビーチでゆっくりしたいんだけど、もう少しそれにつき合ってくれないかな?」自分を主語にしてメッセージを伝える「アイ・ステートメント」を試してみると、少し考えなおしてくれたのか、しばらくその質問は収まり大人しくなる。

しかし、その後はいつもおなじみの質問、「What's for dinner」攻撃が始まる。午後のおそくになり、お腹も空いてきている時間。下の子からも頻繁に聞かれるこの質問は、おそらく子供を持つ親が一生のうちに一番多くされる質問だろう。

ところが、ベンの場合はこれがほとんど一日中通してくり返される質問で、ランチを食べ終えた後からすぐに始まる。そして、さらに大きな問題は、もし答えたものと違うメニューになった場合に癇癪を起こすことがある点。だから、こちらも適当には答えられないし、「I don't know yet」とか、確実に決まっている時はそのメニューを言ったりしてその場を取りもたせていた。

ミス・ソンバイから教えてもらった対応はこういうものだった。先ず質問には答えずに違う話を持ちかける「ベン、今日は天気が良いね」でも「海は気持ち良いかい?」でも何でも良い。ポイントはベンがその質問をして答えが得られるという期待をさせないという事。これはまだ試行の段階だが、最近は「その質問には答えられないよ」と回答して別の話をするようにしている。実際にその夕食を作り始めるか、外食の場合は店でオーダーして始めてその答えが出るというわけだ。
海沿いのアミューズ・メントパークに夕食を兼ねて行くことにしていたので、その予定を教えて、そこで夕食を食べることも伝えると、満足した様子でまた落ち着きを取り戻してくれた。                      

続く
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by gakuandben | 2006-08-28 00:56 | 自閉症に関して
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