ニューヨークでミュージシャンとして活躍する一面、自閉症の子供と向き合う現実との戦い
by gakuandben
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タケカワユキヒデさんから推薦を頂きました!
 「自閉症の子供を持つ親が勇気づけられるだけでなく、自閉症のことをよく知らない人たちにとっても、とても意味のあるエッセイだと思います。
 また、生のニューヨーク事情も知ることもできる。なんとも、幾重にもお得な素晴らしいエッセイです。

プロフィール
高梨 ガク
64年東京生まれ。ベーシスト。18歳でプロ・デビュー後、90年に渡米。ソウル、ジャズ系の音楽を中心に幅広い音楽活動を続ける。ポリスターより自己のバンド
『d-vash』(ディバッシュ)”Music Is”が発売中。
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Seasons of Love
海岸沿いにあるアミューズメント・パークというのはアメリカのビーチでは定番で、古くはブルックリンの南にあるコニー・アイランドが有名(毎夏ホットドッグ早食い大会が行われており、必ず日本人選手が優勝して記録を更新しているので、日本のテレビでもおなじみの場所)。

砂浜の上にボード・ウォークが組まれそこに海の家ならぬ、海の店が続く。店は海の幸関係の飲食店や、ビーチ名の入ったTシャツなどを売る謎のビーチ・ファッションの店、日本では射的に値するゲーム小屋、マイルドなカジノ気分の楽しめるゲーム・アーケード等が延々と軒を連ねる(アメリカはギャンブル施設の規制が厳しく、許可された地域以外にカジノは作れない)。

そして目玉となるのが恐ろしい乗り物を取り揃えたアミューズメント・パークなのだが、ここのビーチは全長1マイルはあろうボード・ウォークの両端がアミューズメント・パークになっているという豪華なものだった。当然の事ながら、生命の危険を敏感に察知するベンにとって、それらの乗り物は恐ろしい以外の何者でも無く、「Daddy I donユt go to ride PLEASE」とくり返し、抱きついてくる。

ベンは正しい。いくつかの乗り物は見ているだけでも信じられないくらいに恐ろしいものだった。巨大クレーンの端にゴンドラをつけてぐるぐると回転させるという、シンプルかつ大胆な発想のものから、バンジーコードでつながった球形の檻の中に詰め込まれた人間がパチンコの要領ではじき出されるといった、「コードが切れたらおしまい」といったものまで揃っている。どうしてこんな乗り物にお金を払ってまで乗るのかが理解出来ないが、好きな人には楽しいようで終わった人を観察してみると、割と皆ケロリとしていた。

大好物のチーズ・バーガをものの2分で食べ上げたベンは、ゲーム・アーケードに走り出した。こういった興奮のるつぼのような所に来ると、後先を考えずに一目散に走り出してしまうので注意して見ていないと見失ってしまうことがある。日暮れ後のこんな人ごみでベンが迷子になってしまうなんて、考えただけでも恐ろしい。何とかしなければと、またビヘービアー・マネージメントの方法を使ってみることにした。

ロジカル・コンシークエンスの授業で習った自己の行動を選択させる方法。これは、罰ではなく論理的な物事の結果を認識させる手段で、いくつかのステップがある。例えばこの場合だと、「勝手に一人でどこかへ行ってしまう」という問題行動に対して、一人になってしまうとどういうことが起こるかをベンに質問する。「家に帰れなくなる」などといった問題が起こる事を認識させて、次にそうならない為にどうすれば良いかを選択させる。

「ベン、家に帰れなくなるか、このまま皆と楽しく一緒に居るのとどっちが良い?」当然、後者を選択するわけだが、「もし、一人で勝手にどこかへ行ってしまうならそれはできないよ。一緒に居たいなら、必ず側に居ないとダメだ」というオチになる。これは、実際に起こるであろう、困難を利用したパターンだが、例えばテレビを大音量で見ている子供に対して、迷惑がかかることを説明し、ボリュームを下げないのなら、テレビを消す。下げるなら続けてみて良いといった具合に罰ではなく、意味の通った形で問題行動を取り除くことなのだ。

相変わらずちょろちょろとしてはいるものの、それからベンはもっと僕らからの距離を気にする様になり、随分と楽に歩く事が出来るようになった。大爆笑したのは、日本でヒットしたダンスのゲームにお金も入れずにベンが飛び乗り、激しいタップダンスのようなものを踊っていたことだった。

そしてベンお気に入りのゲーム・アーケードに到達するのだが、25セントにくずしたコインを持って一目散に走って行ったのはスロット・マシン。見ていると、レバーを回してからドラムが回転しているのを2センチくらいの距離から凝視している。しばらく眺めてからボタンを押して止めるのだが、なかなかの揃い具合には驚かされた。適当にやっているように見えるルーレットからも高得点のチケットが出て来て「レイン・マン」を思い出した。

大興奮の夜を終えて、部屋に戻ってからもなかなか寝付けない子供たち2人だったが、リチャードと一緒にギターを弾きながら遊んでいると、横になってあくびをし始めた。「ベン、この歌は知ってるかい?」と次々と弾いてみると、ミュージカル、レントのシーズンズ・オブ・ラブを歌い始めた。
 
「525,600 minutes - how do you measure, measure a year? ........」
リチャードと顔を見合わせて驚いていると、どんどん続きが出てくる。小さい頃からベンの事を知っている、リチャードとポーラは本当の叔父と叔母であるかのようにいつもベンの事を思ってくれる大切な存在。ベンは彼らにお礼を言うかのように最後まで歌い上げた。リチャードは、先に寝ていたポーラに歌が聞こえるようにベッドルームのドアを開けた。

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by gakuandben | 2006-08-29 11:15 | 自閉症に関して
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