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ニューヨークでミュージシャンとして活躍する一面、自閉症の子供と向き合う現実との戦い
by gakuandben
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推薦文・プロフィール
タケカワユキヒデさんから推薦を頂きました!
 「自閉症の子供を持つ親が勇気づけられるだけでなく、自閉症のことをよく知らない人たちにとっても、とても意味のあるエッセイだと思います。
 また、生のニューヨーク事情も知ることもできる。なんとも、幾重にもお得な素晴らしいエッセイです。

プロフィール
高梨 ガク
64年東京生まれ。ベーシスト。18歳でプロ・デビュー後、90年に渡米。ソウル、ジャズ系の音楽を中心に幅広い音楽活動を続ける。ポリスターより自己のバンド
『d-vash』(ディバッシュ)”Music Is”が発売中。
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HELPは僕らの為に
昨日はベンの学校のミーティングに参加して、ついでにクラスを覗いてきた。

学校のカリキュラムの説明や、事務関係のスタッフ紹介、学校外の障害者支援団体からの方もいて、障害者の受けられるサービスについての話を聞く事が出来た。

「みなさん、ハンディがある子達には、助けが必要なんです。だから、努力をして進んでヘルプを受けて、彼らそして、親であるあなたも幸せになってください」。

教頭であるエレン先生の言葉は力強く、頼もしい。僕自身、確かにケース・ワーカーの方に教えてもらうまでは、本当に知らない事が多かった。無償医療サービスのカードや、国からの援助金、さらに外部団体が行う無料の障害者へのサービスは本当にたくさん用意されているのだった。

中には親が休息する為に、週末の世話をしてくれるというサービスもあり、重度の障害児を持つ親御さんには大きな助けとなるだろう。

学校で今期から始まった興味深いプログラムは、シアター・アーツの授業で、実際に生徒達がストーリー、コスチューム、音楽を考えてミュージカルを製作してゆくというもの。プロのアクターやミュージシャンが先生として招かれるそうだ。

ミーティングが終わり、教室を見学させてもらう為にエレベータで3階へと向かう。大きな一般高校のフロアの一部を使っているのでスペースにも余裕がある感じで、確かにベンがこの場所を喜び、落第(?)したくないというのも納得がゆく。「I am going to highschool] と言っていたのも全く正しい。

しかし大きいのは学校だけではなかった。次から次へと挨拶をしてくれるベンの友人たちは野球選手やバスケット、アメフトの選手のように体が大きい。ここのサイトは13歳から15歳の子達なのだが、やはり爆発的に成長する年齢なのだろう、1年ちょっと前にベンよりちょっと大きい程度だった子が、アメフト級の体格なっているのに驚かされた。

この体格だと、僕にとってはテーンエージャーでも少しはばかる(ちょっと怖い)のだが、彼らはまったく違う。いつもと変わらず、「ベンのお父さん?ぼくの名前は○○です」と自己紹介をしてくる。ある子は握手を求め、別の子は僕の名前をきちんと覚えていて、「ハーイ、ミスター・タカナシ」と笑顔で応対してくれる。

心の底から名前を呼ばれて、こんなに嬉しい思いはどんなに高いお金を払ってソシアル・クラブに行っても味わえないだろうなと考えつつ、教室に入るとクラスはランチに出た後で、奇麗にアレンジされた展示物の中にベンの上達したハンド・ライティングがあった。

たまたま教室に残っていたアレックスは僕を見つけると、日本語で「こんにちは」と言ってくる。驚いて先生に聞くと、彼は自分で色々な外国語を勉強しているそうで、「Light means ひかり、Night means よる」と確認するようにいくつかの単語を言ったあとには「日本とアメリカの友好関係は、お互いに信頼できるものである」と、いきなり国際社会についての意見を述べ始めた。

感動と驚きの中、ベンを探すと5階のランチ・ルームで一人いち早くランチを食べ終えて座っていた。ランチ・ルームは高校と共用で、ベンたちのエリアのすぐ隣で、高校生(ギャル達)が友人達と誕生パーティをやっており、ベンはそれをぼんやりと眺めていたようだ。

ランチ・ルームの一角に座る彼らを見て、教頭先生の言葉を噛み締める。

今週のニューヨーク・マガジンでは、「年間最高1400万の学費を一体誰が払えるのか?」という私立の自閉症児専門学校に関しての記事があった。これらは、市の教育課に対して訴訟を起こすための弁護士を雇うことのできる人だけが、訴訟に勝ち、市からの援助を受けて行くことができる場合が多い。やはりお金という努力も存在するのだった。
HELPは僕らの為に_f0097272_1361526.jpg
by gakuandben | 2006-10-26 01:43 | 自閉症に関して
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