ニューヨークでミュージシャンとして活躍する一面、自閉症の子供と向き合う現実との戦い
by gakuandben
カテゴリ
まずはここから読んで下さい
このサイトへの連絡先
お勧めサイト
自閉症に関して
推薦文・プロフィール
タケカワユキヒデさんから推薦を頂きました!
 「自閉症の子供を持つ親が勇気づけられるだけでなく、自閉症のことをよく知らない人たちにとっても、とても意味のあるエッセイだと思います。
 また、生のニューヨーク事情も知ることもできる。なんとも、幾重にもお得な素晴らしいエッセイです。

プロフィール
高梨 ガク
64年東京生まれ。ベーシスト。18歳でプロ・デビュー後、90年に渡米。ソウル、ジャズ系の音楽を中心に幅広い音楽活動を続ける。ポリスターより自己のバンド
『d-vash』(ディバッシュ)”Music Is”が発売中。
以前の記事
2010年 12月
2010年 10月
2010年 04月
2010年 02月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月
2008年 11月
2008年 10月
2008年 09月
2008年 07月
2008年 06月
2008年 05月
2008年 04月
2008年 03月
2008年 02月
2008年 01月
2007年 12月
2007年 11月
2007年 10月
2007年 09月
2007年 08月
2007年 07月
2007年 06月
2007年 05月
2007年 04月
2007年 03月
2007年 02月
2007年 01月
2006年 12月
2006年 11月
2006年 10月
2006年 09月
2006年 08月
2006年 07月
2006年 06月
2006年 05月
2006年 04月
2006年 03月
お気に入りブログ
ニューヨークスタイル
ボーカンシャ ~『ニュー...
プロ女子アメフトプレイヤ...
ニューヨークの日本酒事情...
ライフログ
NYの総合情報サイト
www.amedori.net
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
Interesting Boy
道を歩けば人に当たりそうになったり、大きな声を出してしまい驚かれたり、ガラスばりの店の中を覗き込んで変に思われたりするベンだが、好きになってくれる人もたくさん居る。

僕らのアパートの一階部分にある、洗濯屋さんのティミもそんな有り難い人達の一人だ。ベンが生まれた頃から働いているので、本当に家族のような感覚なのかも知れない。

毎日の生活の中で必ず接点のあるのはティミで、ベンも毎朝スクールバスを待つ時に、雨だったり、寒かったりすると、洗濯屋さんの中で和みながらバスを待っている事がある。何をしているのかを見てみると洗剤の注意書きを読んでいたり、ぐるぐると乾燥機の中で回る洗濯物を、鼻がついてしまうほどのぎりぎりの距離で見ていたりするのだった。

タイ人のティミは、商売のための必要最低限の英語しか喋らないのだが、そんな言葉のコミュニケーション以外の部分でベンを愛してくれているのがわかる。2人の間にほとんど会話はなく、心で会話しているようだ。

スクールバスを待つ間、僕は下の子の支度でアパート(2階)の中に居るのだが、ベンは家の外で10分程バスを待っている間に色々な所に顔を出している様子で、朝早くから店を開けている商店の方々は、皆ベンの事をよく知っている様だ。

5件程離れたパン屋に買い物に行くと、「あなたの息子さん? いつも中を覗いているのよ」と言われたり、この間妻が見たのは2件先のヘア・サロンの人がベンの名前を知っていて、「ベン、シャッター上げるの手伝って!」と声をかけられて、ベンは黙ってシャッターを持ち上げていたという光景だったそうだ。

たまたまアッパー・イーストサイドに住み始めて10年以上が経つが、良かったなと思うのは、まさにこの点で、ストリート沿いにお店があるのでこういったご近所的な感覚がある。同じ通りでもウエスト・サイドに行くとこういった光景はみられず、ただブラウン・ストーンやコンドが黙々と立ち並んでいることになる。

このストリートの商店で働く人達の間では、顔のきくようになったベンは、時折店の中のデスクに座っていたりすることもあって、ちょっと図々しくもなってきたので注意するようにしているが、そんな時でも商店の人達は「いいから、いいから」と穏便で、こちらが恐縮してしまうのだった。

知っている顔を毎日のように見る事で生まれる親近感というのは、近所付き合いの原点で、ベンのしてくれた事がまさに良い例だ。知らない人から見れば、変な行動をして、怖がられたり気持ち悪がられたり笑われたりするところを、知っている人になる事によって、日常的な理解者になって貰えたのだ。

さらに、好いてもらえる事まで出来る。ソファーを修理するお店の人は「I like him, he is interesting」と言ってくれ、ベンの部屋の真下にあるフレーム・ショップのおじいさんは、僕がベンの出す騒音について謝ると、「僕は彼を知っているから、問題は無いよ。お客さんは驚いて、文句を言えと言うのだが、私には全然気になる音では無いんだ」とまで言ってくれた。最近は良くなってきたが、ベンは一頃コンピューターで興奮すると、足を床に叩き付けるようにしてノイズを出す事があったのだ。

ベンが本屋などに行ったりした時に思い切り嫌がられるのに対して、理解をしてくれた人々の対応は天と地ほどの差がある。やはり、知ってもらう事の大切さを知り、最近は気付いてもらえず不快に感じている人には早めに教えるようにしている。

そして、毎日のように目が合いながら挨拶をしない近隣の住民にも、自らを説明したベンを見習って 「Say Hi」するようにしなければ。近所なんだから。


f0097272_345159.jpg
ベンが毎日見ているパン屋さんのディスプレイは季節ごとに変わる
[PR]
by gakuandben | 2006-12-05 03:15 | 自閉症に関して
<< 強く生きる人の美しさ Thanks for the ... >>