ニューヨークでミュージシャンとして活躍する一面、自閉症の子供と向き合う現実との戦い
by gakuandben
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推薦文・プロフィール
タケカワユキヒデさんから推薦を頂きました!
 「自閉症の子供を持つ親が勇気づけられるだけでなく、自閉症のことをよく知らない人たちにとっても、とても意味のあるエッセイだと思います。
 また、生のニューヨーク事情も知ることもできる。なんとも、幾重にもお得な素晴らしいエッセイです。

プロフィール
高梨 ガク
64年東京生まれ。ベーシスト。18歳でプロ・デビュー後、90年に渡米。ソウル、ジャズ系の音楽を中心に幅広い音楽活動を続ける。ポリスターより自己のバンド
『d-vash』(ディバッシュ)”Music Is”が発売中。
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謎を教えてくれるテレビ
ベンの弟から携帯に電話がかかる。「ベンがアパートの前で泣いてる。ダディはどこに行ったって叫んでるんだ!」

「ええっ!だって今日はちょっと遅くなるって言っておいたじゃないか。」仕事の都合で子供たちの帰宅時間に30分間くらい合わない予定だったのだが、実際には1時間近く遅れてしまっていた。

毎日のパターンでは、歩いて5分の学校に弟を迎えに行く時間と重なってしまう為、スクール・バスで帰宅するベンは合鍵を使って部屋に入る。今日は弟の方にも一人で帰宅するように頼んでおいた。

僕は仕事からの帰り道、ベンが帰宅しているのを確認する為の電話を家にしたのだが応答が無く、不審に思っていた矢先の電話だった。いつもは何の問題もなく家でコンピューターに向かっているはずのベンが、何を思ったのかパニックを起こしてしまったらしい。ベンの帰宅後20分遅れで家に戻った弟が見たのは、アパートの前で泣き叫ぶベンだったというわけだ。

弟はアパート1階にある洗濯屋さんの電話を使って電話してきていた。ベンの声が背後に聞こえる電話にこちらがパニックになってしまいそうになる。ベンに変わってもらい、直に説明した。「ベン、一体どうしたんだよ?あと30分で戻るから泣くのをやめて弟と一緒に部屋に入りなさい!」

10分後地下鉄に乗る前に電話すると、「問題なくアパートの中に居る」との弟かえあの返事。落ち着きを取り戻し家に戻ると、何事も無かったかのようにベンがコンピューターに向かっている。

「ベン! 何でアパートの前で泣いたりするんだ! 外で泣いたらみんなに迷惑がかかるんだぞ!」持っていたベースアンプを床に叩き落として怒鳴ってしまった。出来ると思っていた事が出来ない事への怒りと、自分自身が取り乱してしまったことへの怖さが重なってしまっていた。

呆然と見守る弟を「本当は君が一番辛かっただろうね」と視界の隅に見る。弟に大変な思いをさせてしまった事も、近所の皆さんにまたしても迷惑をかけてしまったのも、すべてが許せなくなってしまっていた。

僕が怒るのを見て、当然のようにベンもパニックになってしまい、正確な理由を聞き出そうにも、支離滅裂な答えしか返って来ない。次の日に近所の人に謝りにゆくと、どうやらベンは一度鍵を使ってアパートに入ったのだが、何らかの原因でもう一度外に出たらしく、その後玄関のドアを叩いて泣き始めたとの事。

家に入れなかった訳でもなく、学校で何か特別な事情があった訳でもなく、未だにその理由は謎なのだが、今回も近所に住む人達の暖かい言葉に励まされた。僕は13歳になる自分の子を過信していたようで、口で伝えるだけでなく書面に残して部屋に置いておくといった更なる注意が必要だったのを反省する。

その日にしていた仕事が障害のある高齢者の病院でのコンサートだったのも、自分を皮肉に映し出す。「人の世話をする前に自分の息子をきちんと見たらどうだ」その挙げ句に怒鳴って叱りつけてしまうなんて最低じゃないか!



インターネットをしていると日本からのニュース。「高タンパクの食事をとり続けていると、ADやADHDになる可能性があり凶悪犯罪の原因にもなる」との番組を作ったテレビ局が謝罪文を掲載した。

「恐怖の食卓」というバラエティ番組だったそうだが、僕が心から思ったのは、自閉症とは違うものの、同じ様に謎が多く、そんな状況と毎日戦っている人達がいる障害を、簡単に食事を原因にして話を片付けてしまうという番組を作るというテレビ局の人達に、人思いやる気持ちというものがあるのだろうか?という事だった。

誰もがなりたくてなったわけでもない障害を、食事を変えて治るのなら、とっくに治しているだろうし、そう結論づけた医者の前には行列が出来るだろう。「母親の愛情が足りないから自閉症になる」とまことしやかに言われていた時代を彷彿とさせる内容だ。

関係する人が少ない分、納豆事件のような大事にはならないが、障害者に偏見を持たせる情報をわざわざテレビで放映するというのは、比較にならないくらい悪質で、おまけに納豆のように誰かが得をすることさえも無い。


ジャーナリズムの一端を担う、そういったテレビ番組を作る人達に、障害を持つベンを理解して助けてくれる、僕の近所の人々の愛までもを踏みにじる失礼な行動だということだけでも知ってもらいたいものだ。

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by gakuandben | 2007-04-03 09:55 | 自閉症に関して
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