ニューヨークでミュージシャンとして活躍する一面、自閉症の子供と向き合う現実との戦い
by gakuandben
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タケカワユキヒデさんから推薦を頂きました!
 「自閉症の子供を持つ親が勇気づけられるだけでなく、自閉症のことをよく知らない人たちにとっても、とても意味のあるエッセイだと思います。
 また、生のニューヨーク事情も知ることもできる。なんとも、幾重にもお得な素晴らしいエッセイです。

プロフィール
高梨 ガク
64年東京生まれ。ベーシスト。18歳でプロ・デビュー後、90年に渡米。ソウル、ジャズ系の音楽を中心に幅広い音楽活動を続ける。ポリスターより自己のバンド
『d-vash』(ディバッシュ)”Music Is”が発売中。
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Power of Possibility
子供向けショーの仕事は定期的で有り難い。パーティーや結婚式での演奏が年末や、春に偏るのに対し、就学前から小学校低学年を対象にした子供向けの企画は年間を通して常に行われているからだ。

だから、国をあげてのバケーション・シーズンに入ってしまう夏場には、子供ショーはオアシスのような存在で、普段は子供に疲れ気味でも「子供よ、有り難う!共に音楽を楽しもうではないか!」といった感じで、演奏にも力が入る。

先週の木曜日はマンハッタン子供博物館でショーがあった。閉館後にある非営利団体の貸し切りとなったこのパーティ、訪れた親子を見ているとちょっとした違いに気が付いた。

白人のお父さんに黒人の娘さん。白人のお母さんにアジア系の男の子。なるほど、アダプション(養子縁組み)のサービスをしている団体だったのだと思い幸せそうな親子を見ていると、さらにもう一つの違いに気が付いた。

子供の手を引くお父さんのパートナーはお父さん、お母さんのパートナーはお母さん。同性愛の夫婦への養子を手助けする団体のパーティだったのだ。

見た目にも明白なゲイのカップルはお揃いのTシャツを着て、娘さんと楽しそうに踊る。お金持ちそうな、白人と黒人のゲイ・カップルは仕事帰りなのかブランドもののスーツに身を包み子供にも高級なドレスを着させていた。

ゲイに対してレズビアンのカップルは、見た目では全く判断出来ないからか、お母さんとしてとても自然に映る。ただ、お母さん同士が話をしているのかのように見えるのが、実は夫婦であるというだけだ。

ただ、子供の前でいちゃついたり、キスしたりという場面は無く、その辺は子供の成長の過程で制限しているのかなとも思った。

僕は本当に楽しそうな親子の光景を見て、不可能を可能にする彼らの精神に敬服すると共に、それをサポートしてくれる人達までもが存在することに、大きな安心感と希望を感じさせられていた。

マイナスをプラスにひっくり返してしまうエネルギー。

演奏が終わってベースを片付けていると、「すみません、あなたはディバッシュというバンドでプレイしていませんか?」と声をかけられた。顔を上げればそこには6年前に同性愛結婚をしたクリスティーンの姿がある。

ハドソン川を見下ろす初夏の草原で、本当に奇麗なだったクリスティーンとサラの結婚式。人づてにたまたま見に来てくれた僕のバンドを気に入ってくれ、結婚式のバンドとして雇ってくれたのだった。

「あの結婚式と音楽は決して忘れないわ」そう言ってくれる2人の前には、僕と2人のお母さんを交互に見る娘さんの姿があった。


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by gakuandben | 2007-07-31 03:52
充電する夏

僕にとってのいつもの夏は、この時期3週間ある子供向けロック音楽キャンプの仕事。既に2週を終え、今は最後の週に突入したところだ。

決して良いサラリーでは無いこの仕事を、毎年悩んだ末に必ずするのは、自分が子供たちからもらえるエネルギーのせいだろう。

ベースを教える以外にバンド・コーチとして1週間同じバンドを担当するのだが、年齢によってバンドの捉え方も様々だ。

音楽的にも自我の発達する12、3歳のグループは難しい。全く関係のないところから集まった初対面の子供たちが、それぞれに自分の好みに音楽を口にし、それぞれに理想のバンド像がある。

そういったステージ以前にある10歳前の子供たちの方が、学芸会的アプローチが出来るので随分と楽でもある。

こちらが仕掛けた通りに口車に乗せることの出来る年齢なのだ。

ただ、12、3歳の子供たちの話は面白く、感心させられてしまう。そして、すべての事項に関してしっかりした意見を持っているのにも驚かされる。

先週のバンドのギタリストだったノアは13歳なのに相当なギターの腕前だ。テクニックだけでなく、リズムやフィールも天性のものを持ち合わせており、聞けば4歳からギターをやっているそうだ。

当然、夢はプロギタリストだろうと思い話をしていると、彼はミュージシャンではなく、弁護士になりたいと言う。

ミュージシャンとしては一瞬悲しい気持ちにさせられる発言ではあるが、彼の夢はミュージック・ロイヤーになることで、音楽を演奏する人の気持ちがわかるようにギターは演奏し続けたいそうだ。

まるで、新聞の真ん中のページくらいにある「この人」コーナーのインタビューのような立派な夢と答えに驚くとともに、僕の13歳の頃を思い出して比べていたのだった。

エレキを買う頃ではあったが、僕は音楽専門の弁護士などという職業すら知らなかったのは間違いない。

そんなしっかりとした子供に囲まれた最初の2週間だったが、最後の週は8歳から10歳のかわいらしい年頃のバンドを担当になった。

この年齢の子供たちのエネルギーはすさまじい。見ていると、音楽は技術だけでは出来ない事をあらためて感じさせてくれるのだ。

ギターのアレックスはまだ8歳。フェンダーのミニギターが丁度体にぴったりのサイズなのだが、右手でピッキングは出来ても左手でフィンガーボードを押さえていることは殆どなく、すべての弦をかき鳴らす。

ところがそのタイミングとアクションには莫大なパワーがあり、周りにいるもの全てを圧倒するのだった。

僕が「アレックス、ギターソロだ!」と言うと何やら手を動かして弾いているのだが、その後はギターを置いて床にダイブする。本人は客席に向かってのつもりのようだが、迫真に迫るロックスターの姿がそこにあった。

金曜の夕方にはコンサートになり、1週間の成果を発表する。本番前にステージにあがる前の緊張、高揚した子供たちを見ていて、自分の高校時代の自費コンサートを思い出した。

わくわくして緊張した、「あの感じ」は手に取るようにわかり、僕はいまだに音楽という仕事に就いていられる事を改めて感謝するのだった。

2日後には夏のAパートが終わる。



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by gakuandben | 2007-07-26 01:08
いつもの夏
そしていつものようにベンは帰ってきた。毎年キャンプの後は日焼けをして少し痩せているのだが、 家に戻って自由に食べられる状況はベンにとって最大の誘惑なのだろう。1週間もしないうちに体重は元に戻ってしまう。

今年は日本からのキャンパーも参加しているキャンプだったこともあり、キャンプ中の連絡でも、「ベンは日本人の子たちと流暢な日本語で会話をしています」と聞いた。もちろんそれを見た先生はアメリカ人で、ベンがどの程度の日本語を喋っているのかはわからないので流暢ということになるのだろうが、何かしらのコミュニケーションがあったことは興味深い。

夏休み前に学校であった、性的な問題行動(ハグしたときに下半身を押し付けてしまう)も無かったようで、ひと安心だ。

回転や、手叩き、足をふみならすといったマイルドな問題行動は継続しているが、下半身に及ぶ重大な問題に関してはコントロールが利いているようで、この調子で自制心がついてくれればと思う。

下半身の問題に関しては、「そういう行動は犯罪になるぞ」とキャンプ前にかなり脅かしておいたので効き目があったのかもしれない。

僕らでも、頭で理解してもついついやってしまうというのは法にふれないからということがボーダーラインになっていることも多く、ベンにとっても同じように自制する加減があるのかも知れない。

法には触れないが、外で出たゴミを決してそのまま捨ててしまうことは無く、すべてポケットにしまい込むという几帳面さもあるので、自分の中での法律というのもあるのかも知れない。

一般社会の中で生きてゆくための、ベンなりの法律がやがて実を結ぶのを期待したい。

キャンプの2週間を取り戻すかのように食べるベンだが、良い変化は最近ゆっくりと食べるようになった事。味わう事を覚えたのか?

それでも食べる量は同じなのだが、見ている側としては好ましい変化だ。

旅は終わり、何事も無かったかのようにいつもの夏休みが始まった。



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by gakuandben | 2007-07-24 00:46 | 自閉症に関して
Stay connected
例年なら子供たちが去った後には即座に日本へ帰省していたのだが、
今年は通常より遅めのキャンプに参加したため十分な時間がとれなかった事もあり日本は諦めることにした。

しかし、タイミングよくケープ•コッドというマサチューセッツ州にあ避暑地のジャズフェスティバルに参加する仕事をいただいたので、2泊2日のプチ旅行が出来る事になる。

NYから車で6時間ほどかかるケープ•コッドはニューヨーカーではなく主にボストンに住む人々のバケーションの場で、僕も今まで一度も訪れるチャンスがなかった。

シンガーのメルセデスさんはボストン出身で、彼女のファミリーが持つセカンド•ハウスがあり、そこに泊めさせていただいた。

きれいに整えられたゲストルームにはそれぞれにツインサイズのベッドが置いてあり、ホテルのようにリラックスできたのだが、彼女は四六時中、一生懸命に居心地が良いように気遣ってくれる。一週間前に初めてリハーサルをしたドラマーとピアニストも、道中や宿をともにすることで、早い時間で打ち解け合えるのだった。

コンサートは大盛況で、本当に楽しく演奏する事ができた。真心で仕事を頼んでもらえた人には、心からお返しをしたいという気持ちが大きくなって、結果的に良いサウンドに結びついているのだろう。ただ、お金のためにというのとは、ちょっと違った感覚にも思える。

音楽の演奏というのはそれほどまでに心のつながり合いがあって、たとえ初対面の人であっても長年一緒に演奏しているかのように心を通じさせることで、何倍にもサウンドを良くすることが出来るのだ。

初めて一緒に演奏しているのに、客さんから「何年間一緒にやっているのですか?」と聞かれたら、それは心のつながった演奏が出来ていたからかもしれない。

人と人とのコミュニケーションを無視して、音楽の部分だけで会話(演奏)する事ももちろん出来るが、それはそういったサウンドになっていっているようにも感じられる。

バンドの作り出すサウンドとセッションの決定的な違いは、音楽的なものと同時にこうした人間としての密なコミュニケーションが音に現れていることだろう。

だからバンドのサウンドは一度心を奪われてしまうと、どうやっても切り離せないイメージがあり、それがまた大きな魅力でもある。
ロックはバンド形態をとることが普通で、ジャズの場合はそうでない事が多いのだが、どんな場合でも「即席バンド」として瞬時にしてコネクトしたサウンドが出せればと思い描くのだった。

僕はそんな理由からか、挨拶もろくにせずに一緒に演奏しようとする人や、挨拶しても心を開かないまま演奏する人が大の苦手だ。

それはエゴであったり、恥ずかしい気持ちであったり、人間的な相性の悪さだったりと理由はそれぞれだろうが、心を開いて語りかける人の演奏というのは、技術では無いメッセージのエネルギーに満ちあふれ、細かい部分はどうでも良くなってしまうという事もある。

音楽以外の部分でも、たくさん気を遣っていただいたメルセデスさんの「バンド」は、とても良い音がしていたように思う。



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by gakuandben | 2007-07-17 00:37
スモーク・グラスの向こうに
夏休みの始まりは、いつものようにサマーキェンプへ行く事なのだが、今年は兄弟揃って同じキャンプに行く事が出来なくなってしまった。

ベンのお世話になっている障害者支援団体は、健常児のキャンプに間借りする形でキャンプを行うのだが、今年はその場所を変えてしまったのだ。弟の方は以前から参加していたキャンプになじみがあり、そちらの方に続けて行きたいということになり、ついに兄弟離ればなれのキャンプになった。

弟の方はともかく、ベンはキャンプでの弟の存在をどう思っていたかはわからないのだが、弟が参加する以前は自分一人で行っていたのだから、大丈夫だろうということになったのだった。

それぞれのキャンプは別の場所で同じ日にスタートするので、いつものように2人揃って車で連れて行く事も出来ず、マンハッタンからバスのサービスのあるベンにはバスで行ってもらうことにした。

数日前から興奮気味の2人は出発の朝を迎えてピークに達し、親としては早くどこにでも行ってもらいたいという気持ちが高まる時でもある。彼らには前日に夜遅くまで荷造りをしていた母親の苦労を知るすべも無い。

ということを考えている間もなく、いつものように時間が無くなり多少焦りながらダウンタウンにあるバスの出発場所へ到着した。

バスでの出発というのは現地に送って別れるのとは違った、乗り物で行ってしまう時に起こる独特のセンチメンタルな感覚があり、それはそれでまた辛い。

単純に、自分が離れるか、相手が離れて行くかの違いなのだが、どちらも別れの基本形であり、それぞれに見切りのポイントがある。連れていった時には自分たちが立ち去ることに悲しい決断力を要し、バスでの出発はそういった決断をしなくて良い分、「あ〜いっちゃたな〜」と徐々に相手が小さくなってゆく感じの切なさがある。

今回は始めてベンが離れて行く方を経験するためか、僕は妙にさみしく感じてしまい、別れ際にハグするとベンもうっすらと涙を浮かべている。去年同じ時期に書いたこのブログを読み返してみると、僕らが去る時にベンはキャンプのベッドで泣いていたとあるのだが、今回は大泣きをするというのではなく、観念したかのように言葉も少なく一人バスへ乗り込んでいった。

そもそもキャンプには行きたがっていたわけだから、何も観念する必要も無いわけなのだが、いざ行く事になると急に寂しくなるというのは僕にも良くわかる。

バスの中に消えて行くベンを見ながら、僕も半ベソをかいていたのだったが、こういう時によく考えてしまうのが映画やテレビでみたシーン。その時思ったのは戦地に子供を送り出す親の姿で、キャンプですらこんな気持ちになるのだから、それが生死のかかった場所であるならば、親にはどうにも耐えられるものでは無いだろうなと言う事だった。

そんなことを考える癖のお陰で想像が膨らみ、止まりかけた涙がまた奥から吹き出してきてしまうので、すぐに違うことを考えるようにしないといけない。

ところが、感動の別れの後、バスはすぐに出発するのかと思いきや、10分経っても20分経っても一向に出発しない。おまけにバスの窓はスモーク・グラスで中からは見えるのだろうが外からは全く見えず、ベンがどこの席に座っているのか見当もつかない。

30分するとタクシーが到着して、遅れてきた子供達が楽しそうにバスに乗り込んでいった。遅れて子供を連れて来た親も、悪びれる様子も無く平然と振る舞い、周りの親達も冷たい視線を浴びせる訳でもない、アメリカンな遅刻。

そしてバスは出発していったのだが、僕はバスがいつまでも出発しない事にイライラしたせいか、半べそをかいていた事もすっかり忘れ、すぐに車に飛び乗り弟の方のキャンプへ向かった。

めでたしめでたし

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by gakuandben | 2007-07-09 14:40
卒業とお辞儀
子供たちの学校もようやく終わり、嵐のようなシーズンはあっという間に過ぎ去っていった。

特に今年は弟の方が小学校の卒業式だったこともあって、普段とは違ったエキサイティングな日々の連続でもあった。子供の興奮は親に伝わり、終わってみると妙に疲れているということはよくある。

卒業式の夜にはパーティなども企画されていて、小学生とはいえ親の立ち入り禁止でDJなどを呼んで盛り上がっていたようだ。

卒業式の式典自体は朝の10時から1時間ちょっとのものなのだが、一人一人舞台上に子供たちが登場した後は、何曲かの合唱に続き詩の朗読、先生や、学校関係者に対しての感謝メッセージと淡々とした調子で進んでゆく。

卒業前に生徒たちに配られていた小説の作者である女性がゲスト・スピーカーとして呼ばれており、その小説と絡めて卒業にまつわる話をしてくださったのだが、飾り気の無い暖かいお話でとても良かった。

自分の小学校う時代の忘れられない思い出を自作の小説にちりばめて書いた事など、親にとっても子供の成長と自分の思い出を重ねあわせることになり、ほろりとさせられてしまった親も多いのではないだろか。

僕はまだその小説を読んでいないのだが、息子によると自閉症の母親を持った子供の話で、フィクションなのだが、偶然ながら興味深い話に出会う。

式に備えて買った真っ白なシャツに、すこし短く結びすぎてしまったベンのお下がりの青いネクタイをつけた弟は、名前を呼ばれると立ち上がれば良いだけなのに、わざわざ日本式のお辞儀をしていた。


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by gakuandben | 2007-07-05 07:45