ニューヨークでミュージシャンとして活躍する一面、自閉症の子供と向き合う現実との戦い
by gakuandben
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推薦文・プロフィール
タケカワユキヒデさんから推薦を頂きました!
 「自閉症の子供を持つ親が勇気づけられるだけでなく、自閉症のことをよく知らない人たちにとっても、とても意味のあるエッセイだと思います。
 また、生のニューヨーク事情も知ることもできる。なんとも、幾重にもお得な素晴らしいエッセイです。

プロフィール
高梨 ガク
64年東京生まれ。ベーシスト。18歳でプロ・デビュー後、90年に渡米。ソウル、ジャズ系の音楽を中心に幅広い音楽活動を続ける。ポリスターより自己のバンド
『d-vash』(ディバッシュ)”Music Is”が発売中。
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Stop or Walk
一人でどこかへ出歩いてもらえたら、と心から思うのはいつもこの時期だ。サマー・スクールが終わってしまってから3週間、毎日の予定もどうにもつぶしの利かない状態が訪れる。

実はベンだけではなく弟の方も、毎日どこかへ連れて行ってもらえる状態が当たり前になってしまっていて、ベンと一緒になって「今日はどこへ行くんだ?」と始まる。

ただ、今年になってから弟の方は近所の仲の良い元クラスメイトと、公園に行ってくれたりお互いの家で遊んだりしてくれるようになった。だが、これも今年になってから始まったことで、去年まではこうした友達との交流というのも断ち切れてしまうのが夏休みだった。

大多数が共働きの家庭であるマンハッタンに住む子供達の夏休みは、殆どがデイ・キャンプに費やされているのもうなづける。だから、逆に何も予定の無い日を探すのが難しいくらいに子供は忙しかったりもする。

最近は子供にちょっとした運動をさせるトレーナーの人も公園で見かけるようになった。

ラジオ体操に行ってから夏休みの宿題をやって、午後は自転車で意味も無く走り続けていた自分の思い出からは考えられないほどの情報と物に溢れ、スポーツをする事にさえもお金を払わなければいけない。

ベンは友人もおらず、一人で行動することが出来ないので大変ではあるが、本質的な部分はどの子供も抱えている問題なのだろう。

先週はパスポートの申請に48丁目まで歩いた。NYでは歩行者の信号無視は当たり前で、殆どの人が歩道からせり出して渡るチャンスをうかがっている。車が途切れたり、来なければ素早く渡ってしまうのだが、交差点の横断を一人で出来る様にするために1つ1つの信号をきっちり守ってゆく。

ところが、歩行者信号が青になると、車の信号も青になるため左折や右折の車が横断歩道を通過することになり、これが逆に危険だったりする。日本の様に歩行者が渡ろうとしていたら、待ってくれるなどということは無く、チャンスがあれば車の方も歩行者より先に行こうとするのが当たり前なのだ。

だから歩行者信号が青でも、絶対的信頼のある横断が出来る事は無く、曲がって来る車の事を注意しながら横断することになるのだが、これは自閉症者にとって大きな問題だ。

信号は横断して良いと言っているのに、車が入ってくるので注意しなければならない。おまけに歩行者信号は赤なのに、車が来なければ人波は横断歩道をつき進み、一人だけ信号に従って止まれば倒されてしまいそうだ。

ベンは「STOP」と言って立ち止まり、待っている。待っている間は他の事を考えているようで、僕らの様に車の来る方向を見ていたり、信号を見つめていたりはしないのだ。そして、ふと気付いたように信号を見て「WALK」と言って渡り出す。

すべてが正しく、ベンは交差点を横断出来るのだが、そこには侵入してくる車に対する注意が必要なのだった。これは人との距離や、関係を把握するのと似た技能のように思え、あの磁石のような感覚はベンにはまだ難しい分野でもあった。

一人で出歩くのが一番困難な街で、長いチャレンジは続く。

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by gakuandben | 2007-08-29 15:15 | 自閉症に関して
Lucy in the Sky
ポーラ、リチャード夫妻は今年もニュージャージーのビーチ・ハウスに招待してくれて、車で2時間ほどの距離にあるビーチでリゾート気分を味わいに行った。

残念ながら週末は雨続きでビーチはとても楽しめる状態では無かったのだが、ベンはどちらにしろ海には入らないし、弟の方も天気は問題にせず逆に悪天候の高波を楽しんでいた。

とはいえベンにとってはコンピューターの無い一泊旅行で、持て余してしまうことを心配してしまうのだが、そこは不思議な適応性があり、潔く諦めてくれるのだ。

代わりにDVDのプレーヤーを持って行ったのだが、それにすがることもなく割と普通にバケーション的な行程を楽しんでくれた。

もちろんお約束の海辺遊園地では大興奮だったが、これも雨で半分が閉じた状態。ゲーム・センターなどの室内で楽しむものだけが営業している。遊園地の乗り物が大嫌いなベンにとって、良い事だと思いきや「Oh No, It's closed !」と嘆いている。どうやら、見るのは好きだったようだ。

確かに遊園地の乗り物は乗ってしまうより、見ているだけの方が楽しそうで、きらきらと奇麗でもある。

家に戻ってワインを飲みながら、ベンにジョークを飛ばすと最近するようになった面白い反応をする(わざとらしくA ha ha ha と笑い「Daddy , That's joke」と言う)。これは冗談を理解して言い返すところまでが非常に普通なコミュニケーションだ。

翌日も悪天候は続き、寒く、雨足も強くてとてもビーチに行く状態では無い。機転の利くポーラは、車で1時間程のところにある観光ポイントに行く事を提案してくれた。

アトランティック・シテイにある巨大なゾウ「ルーシ」は1800年代に不動産王が地域の復興を狙って建てたものだそうだ。歴史的建造物に指定されているのだが、なにぶん古いものなのでこれといった仕掛けは無い。

ゾウの中に入るツアーいうことで、期待しながら足についているドアかららせん状の階段を登ると、そこには大きな家のリビングルーム程のスペースがあり、このゾウに関する歴史ビデオを見る。終わるとゾウの目の部分が窓になっていてそこから交代で海を見た。 それだけだった。

昔、伊豆方面に旅行すると沿道に必ずあったのが秘宝館。子供心に何か不思議な存在だったのだが、少々エロなものだったようで大人になってから入館してみた思い出が蘇る。

どちらも要するにポイントは客寄せのためのものだったわけで、何故ゾウなのかは良くわからないのであったが、僕はベンを連れてこの場所に行ったことを一生忘れないだろう。

悪天候の中、まる2日の行程に付いて来れる様になったベン。本屋やショッピング・モールに行きたいと口走るものの、気付けば随分と自身のコントロールが出来る様になったものだ。

公園中をあちこち走り回る5才のベンを見て、将来この子をどこか旅行に連れてゆくことはできるのだろうかと思った。
 
ルーシを見に行けた事を、本当に感謝したい。


 

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by gakuandben | 2007-08-24 12:25 | 自閉症に関して
つかまる手

昨夏に投稿した、公園の年老いたお母さんと僕の年くらいの重度の自閉症をもった息子さん。

今年も元気な姿をプールで見かける。息子さんはバスケットが得意で、公園ではよく見かけるのだが、プールも好きなようで、泳ぎはしないのだが水面を叩いて楽しそうにしている。

毎日のように通っている僕には、お母さんではなくケア・テーカーの人が一緒に来るとちょっと心配してしまうのだが、どうやらそれは決められた日に連れて行ってもらえることになっているようだ。

ただ、去年までは一緒に水着を着てプールサイドにいたお母さんは、今年になってからは洋服を着たまま日陰に座っていることになった。

嬉しいことに、70歳は過ぎているであろう彼女をプール関係者がいたわり、階段の登り降りのないようにフェンスのドアから入退場、ベンチしかないプールサイドには特別に背もたれのある椅子を用意してくれるようになったのだ。

息子さんは、言葉も喋るようなのだが少しチック的なところがあり、同じ行動を繰り返したり、うなり声を出したりしている。ただ、周囲の人から離れるようにしているのでトラブルの心配は少ないだろう。逆にベンの方が一見普通に見えて変な行動を取るので周りの人を驚かせてしまう。お母さんは別段注意を与える事なども無く、1時間弱のプール時間は終わる。

いつかお母さんと話をしてみようとは思うのだが、それはいまだに出来ていない。

何か興味本位で聞いているように思われるのを恐れるし、リアルな話を聞くのが怖いのかもしれない。でもきっとお母さんも僕らのことを気づいているのではないかと思うのだ。

そしてふと気がつくと、お母さんの手につかまってゆっくりと歩く息子さんの後ろ姿がある。

それは少年の手を引く母の姿なのだが、僕にとっては息子さんにつかまって歩く年老いた母親の姿だった。



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by gakuandben | 2007-08-17 13:21 | 自閉症に関して
The Long and Winding Road
そして、これと言った出し物の無い夏休みは2日目を終えたところ。

サマー・キャンプ、サマー・スクールを終えた後が、ベンにとっての本格的な夏休みで、学校が無いことを本当に嬉しく思っているようだ。

その分、「Where are we going tomorrow ?」と、しつこく聞かれるので「自分が行きたい所は無いのか?」と聞くと、「Ummmm~ I don't know」となってしまう。

それは僕にとっても同じことで、そんなに毎日予定をたてておくことが出来る筈もなく、「行き当たりばったり的なアイディアで、あまりお金を使わず、時間も無駄にしない何か」を考えつくのに費やす時間が午前中になる。

もちろん用事があれば、それに合わせた予定になるので選択肢も無くなるが、時間がある時にはきっと誰もが親心として「何か夏休みでなければ出来ないことを」と考えるだろう。

作戦のひとつとして、NY観光というのがある。せっかくNYに住んでいるのだから、観光で訪れる人が行くような場所に行ってみるというものだが、これは結構な新発見があって楽しい。

例えば、ハード・ロック・カフェなどは、地元の人は先ず行く事の無い店だが、アビーロード・スタジオのドアや、ジミヘンの衣装、ポールの使ったホフナー・ベースが飾ってあったりして、ちょっと音楽好きな人ならかなり楽しめるだろう。

お金のかからない楽しい乗り物としては、スタッテン・アイランド行きのフェリーというのもある。遊覧船が20ドル以上するのに対して、このフェリーは無料で、自由の女神もちゃんと見る事が出来る。

こうした場所に行くのは自分も旅行している気分になれるので、子供に付き合っているという感覚よりは、自分の興味と兼ね合わせて、子分を連れて楽しんでいるという感じだ。。

ただ、ベンはどうしても本屋に行きたいという呪縛からは未だ解き放たれることは無く、2日に1度は本屋か、本のある場所に連れて行かなければならない。

今日は近所の図書館で我慢をしてもらったが、ベンにも「休みになれば、大きな本屋さんに頻繁に行ける」という期待があるためか、しきりと大型書店の店名と場所を言って来たりもする。場所を言うのはその支店が大きいからで、例えばバーンズ&ノーブルスなら、ユニオン・スクエアにある特大の店に行きたいわけだ。

それでも、以前に比べれば説明して納得してくれることも多くなった。「時間が無いから今日は近所の図書館ね」と説明すれば、不服ながらも従ってくれる。

ニュース・スタンドで雑誌の立ち読みは出来ないが、大きな本屋さんなら出来る。僕らには何となくわかっている暗黙のルールというのも、場の雰囲気を全く読めないベンには説明して理解してもらうしかない。

説明しているそばから、平気で新聞を立ち読みしたりする人が居るのがマンハッタンなのだが、こうした細かいルールを積み上げることによって少しずつでも一人で行動出来る様になってくれればと思う。


明日は朝一番で、大きな本屋さんへ向かう。
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                  Hard Rock Cafe 良いコンセプトです。
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by gakuandben | 2007-08-15 21:54 | 自閉症に関して
夏の重いで
僕にとって忘れた頃にやってくる恐ろしいもののひとつに腰痛がある。

先週の月曜には、エアコンを窓に取り付けている最中から痛み出してしまった。こちらのエアコンは窓に取り付けるタイプが主流で、室外機も要らず、そんなに重たいものでは無いのだが、狭い空間で作業をしたのが悪かったようだ。

僕の腰には大学生の頃から椎間板ヘルニアがあり、普段の生活では支障は無いのだが、こういった持ち上げる作業や、疲れている時にヘルニアに良く無い姿勢をとってしまうと痛みに悩まされることになるのだった。

20歳の自分は、何でも出来ると思っていたのか、ロックバンドのツアーで信じられない重さのアンプ2台を一人で持って階段を上がったり、狂ったように重いベースをストラップから下げてステージを飛び跳ねていたのだから仕方が無い。

歳を追うごとに、昔、自分の腰にした仕打ちが返ってくるようだ。

楽器の性質上かヘルニアを抱えている人はベース・プレイヤーにはとても多く、ある日突然歩けなくなってしまっただとか、下半身から肩にかけて痺れがとれなくなったなどの恐ろしい話を聞くのだ。

もっともこうした症状までいってしまった場合は、選択の余地なく手術ということになるのだが、僕のような症状だとヘルニアが出て来たり、ひっこんだりということで、手術をするまででもなく、逆に手術をしても100パーセント改善するかは保証出来ないと、医師は言う。

フィジカル・セラピーに行った時は、今の段階ではうまく付き合ってゆくしか無いというとで、周りの筋肉を強くすることと、持っているヘルニアの方向に悪いエクササイズはしない事を教えて頂いた。

水泳も良いということで、5年程前から毎朝のように泳いで、おじいさんと同じようなエクササイズをしてはいるのだが、それでも油断しているとギクリと来てしまうのだった。

「ホント、爆弾を抱えているようなものだよね。」同じ腰痛の悩みを持つ友人は言う。本当にその通りで、治ったかのように調子の良い時が続いていると、「いやいや、あなたはヘルニアがあるんで〜す」と言わんばかりに痛みが襲って来る。

腰痛の辛いところは、痛みは勿論だが、その痛みで正気が抜けたようになってしまうところ。腰はすべての動作の中心になっているのが、腰を痛めると良くわかる。腰を守るために肩に力が入り、手を前に出してお皿を洗うことすら出来なくなってしまうのだ。

つまり、どんな動作をするにも痛みの恐怖があり、リハビリ中のお年寄りのようなスピードで動くことになる。

腰を休ませるのも大切と言われたが、僕の場合は横になってしまうと逆に辛くなってしまうので、座るのと立つのを5分おきくらいに続けて、ちょっと痛くても歩き回るようにしている。

しかしながら、風邪をひいても気力で治すとか、熱があっても会社に行くというのとはちょっと違った精神力が必要で、痛くても勇気をもって出来る事を続けるしかないという感じか。

自分がこういった状態になった時に思うのは、よくガンの克服体験記とかに出てくる方々のお話。生死がかかっている状況とはいえ、その精神力は相当なものなのだろうなと想像する。

僕にはそういった状況を切り抜ける力があるだろうか? 
そんな時はもしかすると、べンが答えを出してくれるのかもしれない。


まる1週間が経って、すっかり普通の生活に戻ることが出来たが、40代前半にして、腰に気をつける生活は気の抜けないものとなりそうだ。

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by gakuandben | 2007-08-10 13:02