ニューヨークでミュージシャンとして活躍する一面、自閉症の子供と向き合う現実との戦い
by gakuandben
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推薦文・プロフィール
タケカワユキヒデさんから推薦を頂きました!
 「自閉症の子供を持つ親が勇気づけられるだけでなく、自閉症のことをよく知らない人たちにとっても、とても意味のあるエッセイだと思います。
 また、生のニューヨーク事情も知ることもできる。なんとも、幾重にもお得な素晴らしいエッセイです。

プロフィール
高梨 ガク
64年東京生まれ。ベーシスト。18歳でプロ・デビュー後、90年に渡米。ソウル、ジャズ系の音楽を中心に幅広い音楽活動を続ける。ポリスターより自己のバンド
『d-vash』(ディバッシュ)”Music Is”が発売中。
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本当のU.F.O.
日本のカップ焼そばは素晴らしい。こちらに住む日本人のも友人も「あれだけは欠かさず食べる」と言い、あれは、本当の焼そばを超えたカップ焼そばという一つのカテゴリーを確立しているという話しになった。

そのカップ焼そばに類似した、アメリカ仕様の商品が去年頃からスーパーに並ぶようになった。形状は全く変わらず、メーカーも日清とマルちゃん。決定的な違いはその作り方にある。

訴訟を起こされる事を想定したのか、カップ焼そばでは当たり前の湯切りのプロセスが無い。何と水を規定ラインまで入れ電子レンジで調理するという斬新なもので、加熱完了後も蓋を閉めて蒸らすように注意書きがある。

これが中々上手く出来ていて、出来上がり時には丁度お湯がなくなって粉末ソースを混ぜると日本製のものにかなり近くなる。果たして味の方はというと、両者の製品は違うコンセプトで作られているのだ。

日清の商品は焼そばではなく、Chow-meinという中華料理として販売されている。というのもアメリカでは焼そばよりも名前が通っており、中華料理で必ずオーダーされるメニューの1つ。だから、アメリカでの中華料理麺の味を作り出そうとしている。

一方マルちゃんの製品はYAKISOBAとして売られており、味の想像がつかない人のためにテリヤキ・フレーバーと書いてはあるのだが、実際にはソース焼そばの味に近い。難を言えば日本のものより少し甘みが強いといったところだろうか。しかし僕にとっつてはこのマルちゃんがカップ焼そばの味であり、日清のチャウメンはとんでもなく奇想天外な味なのだ。

さて、この2つのジャンク・フード、ベンはどちらも文句を言わずに食べるのだが、恐ろしいことにベンの弟はこのチャウメンの方を気に入り、焼そばの方は食べようとしない。

「何でそっちの方が好きなの?」聞いてみたところで的確な答えを言える訳もない。アメリカ人向けに作られたチャウメンにはきっとそれなりの理由があるからだろう。僕だって何故ソース味が美味しいのか理由など無い。

信じがたい息子の選択に、やはり親子というのは血がつながっていても他人だなと実感し、育った環境の違いや様々な体験が人を作り上げてゆく大きな部分となるのを目の当たりにする。

午後、レッスンに来る予定だった子供のお母さんから慌てた様子で電話がかかってきた。「今日のレッスンはキャンセルにして下さい。息子が学校で何かあったらしくて、機嫌が悪くて口も利いてもらえません。一体どうしたら良いのか、私にもさっぱりわからないのです。」

12歳の子供がお母さんに言えないような仕打ちを学校で受けたとも思えず、何も言わない子供も子供だが、慌てるお母さんにもしっかりしていただきたい。

僕は「いいですよ、キャンセル料なんて要りません。そういう事はよくありますから」と電話を切ると、「息子さんも他人なんですから」と付け足していた。




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by gakuandben | 2007-09-27 13:30
続いていた時間
「Hi Dad!」 昼寝をしていた間に学校から帰ってきたベンの声で目が覚めた。

まる一週間の日本滞在は、たくさんの古い友達と、新しい出会いとが盛り込まれた映画のダイジェスト版のようで、あっという間に過ぎ去ってしまった出来事のようでもあり、1ヶ月旅をしたかのようでもある不思議なタイム感だ。

高校の頃から通った渋谷のラーメン屋さんに行けば、そこにはあの頃から働いていた2人が同じ様にラーメンを作っていてくださる。その関係は、全く変わらないままに、ご主人が亡くなったことにより、麺を茹でて盛りつけるのを一番長く働いていた料理人さんが仕切り、その料理人さんのやっていたラーメンの具を調理するのを2番目に長く働いていた料理人さんが仕切る。

その2番目に長く働いている料理人さんは、僕が高校生の頃に皿洗いとして働き始めたのを覚えているから、25年以上同じ関係を続けていることになる。時間の経過は白髪になった彼らを見れば一目瞭然だが、そんな客の僕も白髪混じりなのだった。

辞めてしまうことだって出来るこの関係を25年間続けている。家族であるわけでもなく、独立して自分の店を持つことだってきっと出来るであろうに、その二人はずっとそこに居てラーメンを作っていてくださる。

13年前に僕に加わったた関係はベンとの関係だった。辞めてしまうという選択のない関係は、不安で怖くもあり、果てしなく感じたりもするものなのだが、この料理人さんたちはどうなのだろう?

目標を持って生きるというグループの人がいるとすれば、僕はそのグループでは無いのかも知れない。目標は達成される事によって次の目標を作り出す。学校や会社でも、目標は全体を奮起させるのによく使われる一番のフォーミュラでもある。

ラーメンをさばく別の生き物のような手。毎日の積み重ねには目標はいらない。毎日することは生きる為の付属品になっていて、それには目標など全く必要が無く、ただ、前の回より上手に、手際よく出来る様にするだけだ。

僕は、ベンに対しての夢はあるが、こうなってくれたら良いなという漠然とした希望があって、具体的な目標は学校まかせでいい加減だ。学校や会社は逆に人に伝える「目標」という具体例が必要なシステムで、期末にはゴールという形でレポートが提出される。

「ラーメンを作るのが好きで、毎日やっているうちに月日が経過してしまった」ということなのだろうか?そこには、どうやっても身じろぎ一つしない確かな何かがあった。

ベンに出会う前の自分を思い出す日本。離れてから17年の月日が経ち、ベンが生まれてからはさらに遠い国となった気がする。切り取られたように以前の自分が今の自分とつながり、ラーメン屋さんでは同じ料理人さんが同じラーメンを作り続けていた。

食べ終えて、お金を払おうとすると、1番古い料理人さんから「ありがとうござ〜いました」と独特のトーンでお礼の言葉がかけられる。続いて2番目の料理人さんが「ありがとうござ〜いました」となぞるのだが、このタイミングまでもが昔と同じだった。

毎日の積み重ねの大切さを教えてくれる人生の大先輩に会ったような気のする、ラーメンの食べ心地で渋谷を後にした。


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by gakuandben | 2007-09-23 16:32
I can't tell you why
うちのブロックには、僕が引っ越して来る前からいつも居たと思われるホームレスの男性がいる。

黒人で50歳過ぎと思われる年齢の彼は、どういうわけかほとんど毎日このストリート、それもファーストとセカンド・アベニューの間に表れ、寝ていたり、酒を飲んでいたりして過ごしていて、夜になって姿を消すこともあれば、アパートの入り口で寝ていたりして、時々警察官に取り囲まれたりしているのを見る。

間違いなく精神的な病気を抱えており、時々叫んだり、怒鳴ったりするのだが、人に危害を加えることはなく、この近所の人なら誰もが知っている存在だ。時に、もの凄くひどい状態になっていて、もう死んでしまうかなと思う位の時もあれば、何故かスーツを着ていたり、80年代風の女性ファッションに身を包んでいたりもするのだった。

毎朝、ベンはアパート前のポーチで一人でスクール・バスを待つ。もちろん、ずっと座っている事が出来る訳が無く、30メートル位の距離を行ったり来たりしているのだが、僕らの心配していたベンの知らない人に対する会話は、この人に向かってしまった。

普段僕らに対しては大人しく、ハイと言えば一応の返事はしてくれるこの男性、ベンに対しては勝手が違ったようだ。

ベンが子供だったからなのか、手を叩いたり、独り言を言うのが勘にさわったのか、「Hi Man」と言ったベンに対して怒り始めてしまったのだ。

ベンの声と男性の怒る声、さらに1階洗濯屋さんのティミの叫び声で、騒動をアパート窓越し聞きつけた僕は、慌てて外に飛び出した。

ベンは涙を目に浮かべ、ポーチに座っており「I said Hi to the man」と言う。いつもの泣き顔とは違う表情をしていて、かなり怖かったのが伺える。男性の姿は既になく、捨てゼリフを言い残してどこかに行ってしまったようだ。

洗濯屋さんのティミが怒鳴ったのは、男の人がベンの前に来て大声を上げたからで、それでもベンは「Hi man 」と言い続けていたそうだ。

ベンは人がハッピーで無い事を気にするので、自分の言った事で男の人が怒ってしまった事を、自分の中で許せなかったのだろう。

僕はさすがにベンにどう説明したら良いかもわからず「ベン、人によってはハイと言って欲しく無い人もいるんだよ」と言うのが精一杯だった。


夜になって事件を妻に話していると、「それが、外交的になったベンに一番心配な事だったわ」と言う。確かにどんな人がいるかわからないこの街で、下手に声を掛けたりすれば逆上して怒り出す人が居ないとも限らない。

フレンドリーに振る舞おうとするベンにとっては、何ともやるせない話ではあるが、それを見分けられるまで、挨拶をするのは知っている人だけに限らせるのが良さそうだ。
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by gakuandben | 2007-09-11 14:06 | 自閉症に関して
会話の中身
夏休み最後の週末は、旅行に行ける訳でもなかったので新学期に備えてキッチンを整理しようと思い立ち、組み立て家具の店IKEAに行った。

何故、新学期に備えてキッチンなのかというのは、最近子供達が自分で簡単なスナックを作ったりすることが増えてきたためで、電子レンジやトースターなどを安全な位置に移動しようというプランだったのだ。

しかし家具屋に行くと、やはり同じ様な事を考えていた人が集合したようで、順路に沿っての買い物はまるで新年お宮参りのようになってしまっている。こちらの9月は日本の4月のように、フレッシュ・スタートの月なのだ。

こうなってしまうと、何から何まで並びつくさなければならない。家具をオーダーするのにも、受け取るのにも、お金を支払うのにも20分近く待つのは当たり前といった状況。それでも、IKEAのスタッフは素晴らしい研修を受けているようで、他店の状況に比べたら遥かに手際が良い方なのだ。

ベンも数年前なら、人ごみという状況だけでコントロールを失い、買い物などとても付き合える状況では無く、すぐに帰っていたのだが、最近は少しでも聞き分けがあり、何とかなるようになったので買い物を強行する。

途中、ベンはお腹が空いてしまい、妻に買い物を任せてホットドッグを買いに行った。しかしながら、ここも当然長蛇の列。並んでいる間にべンはあちこちと動き回る。人に当たったりしないかと心配だが、それでも文句を言わずに待てる様になったのは本当に助かる。手を叩いたり、くるくると回ったり、何とか迷惑にならない程度にしていてくれれば、こういった騒がしい場所で待つ事はさしたる問題ではなくなってきた。

ところが、今回はちょっと様子が違う。列の先頭の方を見ると、ホット・ドックを作っている店員さんに、何やらベンが話しかけているではないか。

遠すぎて何を話しているのかはわからないのだが、何やらホット・ドッグを指差して会話をしている。店員さんの表情はあまり変わっていなかったので問題は無さそうだが、距離が遠すぎてベンを呼ぶにも呼べない状況だったのだ。

ホット・ドックを食べながら、「ベン、さっきは何を話していたんだ?」と聞くと、どうやら言いたくは無いようで、話をはぐらかすのだが、最近のベンは積極的で、自分から見ず知らずの他人に喋ることがある。本屋で人が邪魔な時にも「Excuse me, Man」とかなり失礼に割り込んだりもするのだ。

買い物が終わり、僕が商品受け取りに並んでいる間に、今度は妻がアイスクリームを買うためにベンと列に並んだ。すると彼女曰く、またしてもベンは店員さんにコップを指差して何か話していたというのだ。

理にかなわない質問はいつもの事だが、知らない人はびっくりしてしまうだろう。車の中でベンの聞くと、「IKEAカップは100ドルだ。」などと言うのでもう一度「店員さんは何と言ったんだ?」と聞くと、「カップは1ドルよ」と言われたと言う。

僕らは「..........」となってしまい、どう推理して良いのかわからなくなってしまったのだが、他人との会話という新項目が出て来たことは間違いなさそうだ。


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by gakuandben | 2007-09-04 14:00 | 自閉症に関して