ニューヨークでミュージシャンとして活躍する一面、自閉症の子供と向き合う現実との戦い
by gakuandben
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タケカワユキヒデさんから推薦を頂きました!
 「自閉症の子供を持つ親が勇気づけられるだけでなく、自閉症のことをよく知らない人たちにとっても、とても意味のあるエッセイだと思います。
 また、生のニューヨーク事情も知ることもできる。なんとも、幾重にもお得な素晴らしいエッセイです。

プロフィール
高梨 ガク
64年東京生まれ。ベーシスト。18歳でプロ・デビュー後、90年に渡米。ソウル、ジャズ系の音楽を中心に幅広い音楽活動を続ける。ポリスターより自己のバンド
『d-vash』(ディバッシュ)”Music Is”が発売中。
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ベンが4歳の時、自閉症の専門医のところに初めて連れて行った。

子供専門の病院なので、待合室には車椅子に乗ったままの本当に重い自閉症の子から、ベンのように多動であちこち走り回っている子まで様々だったけど、何よりも密かにショックに感じたのは、障害者の親として、自分もここに居るんだなということだった。

まだ、自覚が足りないというか、覚悟が出来てない僕は、その当たり前の強烈さに怖じ気づいていた。

動き回るベンを追いかけるのに、待合室のあちこちの場所に動くことになるのだけど、親たちはみんな寛容でみんな「ああ、この子は多動なのね、自閉症の典型的な症状だものねえ」と理解してくれているのがわかる。いつも迷惑を気にしてはらはらする普通の環境で過ごしてきたわけだから、理解してもらえる人達の中では本当に気が楽だ。

はたと気づくと、ベンのことをにこにこしながら見ているチャイニーズの夫婦の方がいた。まるで孫でも見るかのように目をほそめて、ベンの事を見てくれるなんて、ここのところデイ・ケアで問題も多く、悩みも多かっただけに、なんだかこちらまで嬉しくなった。

でも、その夫婦の前に居たのは、特別製の車椅子に乗ったベンより5つは年上であろうと思われる話す事も、歩くことも困難な重度の自閉症児。僕もそれを見るや否や、すべて納得させられてしまった。

ちょっとしたベンのパニックで、いらいらして人にあたったりする自分が恥ずかしい。
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# by gakuandben | 2006-03-30 15:26 | 自閉症に関して
ビート・ゴーズ・オン !
週末はフィラデルフィアに行ってきた。

友人の追悼コンサート、と言ってもそんなに大掛かりなものではなく、シナゴーク(ユダヤ人の教会)で100人くらいを集めてのものだったが、故人にゆかりのある人たちで会場いっぱいになった。

去年、脳腫瘍で亡くなったジョッシュは、かなり革新的なラバイ(キリスト教での神父に等しい)だった。
もともとバンド仲間のエイミーの従兄弟ということで、ライブに来てくれたりしていたが、それはかれこれ10年以上も前の事になる。

バンド活動を続けながら、タイムマガジンの編集部で働いたりもしていた彼は、コロンビア大学の卒業というのも納得のインテリジェンスにあふれた人で、自らの歌詞の内容も強いメッセージが込められていた。

3、4年音信不通になり、ある時電話が掛かってくるとラバイになっていて、タイムズ・スクエア近くのシナゴークで礼拝をやっているから、ベースを弾いて欲しいと言う。

マティシャフというジュイッシュの中でも戒律の厳しい宗派のレゲエ・シンガーが話題になっているけど、ジョッシュは礼拝中に歌う歌をすべてレゲエ・ビートにアレンジして、説教をするという、まさに新しいタイプのラバイとして注目されていて、僕もジャマイカとイスラエルという全く違った国の、音楽的な共通点に驚かされた。

今回、僕はベースではなく、ギタリストとしての参加だったのだけれども、それは、ジョッシュがいつも僕を信頼してくれていて、彼が病気で入院した時、代わりにギターを弾いて欲しいと頼まれたことに始まる。

コンサートでは、病気が発覚する3ヶ月前に懐妊して、出産してから数ヶ月で夫を無くした奥さんが、双子の赤ちゃんを忙しそうに世話をしていた。

ミュージシャンの友達が亡くなっていつも思うのは、「せっかく生かしてもらっているんだから、健康で音楽活動のできる時間を無駄にしてはいけないな」ということ。「おまえは良いよなあ。病気じゃないから学園祭も出れるし、バンドの練習だっていくらでも行ける」これは高校の時、やっぱり脳の病気で亡くなったドラムをやっていた山野くんという友達に、しみじみと言われていつまでも頭に焼き付いている言葉。

こうしたみなさんの分まで、楽しく音楽をやっていこうと、また心に誓う。
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# by gakuandben | 2006-03-29 06:16
ソング・フォー・ミー
今日は午後、ベンの学校に行って、定期的に行われる保護者面談のついでに、クラス学習のインタビューを受けて、さらにベースも弾いてきた。

ベンの通っている学校は、自閉症の子を中心に、メンタルな部分で障害のある子供たちが、年齢や障害の程度などによってクラス分けされている、公立の学校。普通の子が通う小学校の4階フロア全体を、間借りしている。

ベンは僕が来る事に興奮して、午前中に泣いたりしたようだが、僕が来た時は別に平然としていて、何なんだって感じ。

インタビューは生徒が色々な職業の人にインタビューして、それをテープに録音して後でまとめる、というもので、かなりチャレンジングな課題ではあるが、ベンと3年近く同級生のダニーシャが一生懸命質問してくれた。

インタビューが一通り終わり、クラスの子全員の前でベースを弾いて見せる。
「ベースから始まる曲はいっぱいあるんだよ」と言いいながら、ドッグ・オブ・ザ・ベイのイントロを弾いていると、丁度のタイミングでダニーシャが歌い出した。

Sittin' in the mornin' sun
I'll be sittin' when the evenin' come

無表情で、完璧な音程とリズムで歌うその目からは、何か光線のようなものが見えた気がした。

自閉症の子とかかわって、一番の喜びは、突然何かの才能が溢れ出る時。本人も知らないうちに、周りの人が驚くような才能が育っていることがある。そしてそれは、人に褒められるためのものではなくて、ただ、自分にとってのものなのが、純粋で心うたれるんだ。

最後は、みんな交代でベースを弾いてみました。f0097272_1421548.jpg
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# by gakuandben | 2006-03-24 14:24 | 自閉症に関して
クローズ・マイ・マインド
自閉症は本当に様々で、軽い人はちょっと変わった性格というくらいからはじまって、重い人は歩けないくらいひどい。

12歳のベンの障害の程度は、必要最低限の会話は何とか成立して、身の回り(食事、トイレ、おふろ)の事も自分でできるけど、一人で外を歩かせることは出来ない。というのが適当だろうか?

一人で歩くとどうなるかというと、本人もしばらく気が付かないのだが、自分が一人だと思った途端、「マミー」または「ダディー」と叫び出し、大声でかんしゃくを起こすというのが大体のパターン。

これは、時々ショッピングモールなどではぐれると、起こってしまう。大声を出すのでこちらが気が付くので結果として良いのだが、自分で勝手にあちこち歩き回って、こちらは見失ってクタクタのところに大声で叫ばれて、周りの人から冷やかなまなざしを受けるという、なんとも悲しい結果となる。

会話に関しても、質問に答えはするが、大事なことで無い限り、心ここにあらずという状況で、適当に答えていることも多い。

あと、よく誤解されているのが、自閉症という文字からのイメージで、暗く、こころを閉ざした人とか、自分の世界に閉じこもったという表現のひとつとして使われたりすることがあるが、これも、自閉症の種類によった多種多様で、社交的で良く喋るひともいれば、イメージ通りの人もいると行った具合。

ベンに関しては、自分の世界は完璧にあるけど、決して閉ざしているというイメージはなく、バタバタと動き回ったり、大きな声で独り言を言っていたりで、逆にうるさい位。自分の世界を一般の人にも見せたいとでも思っているかのようだ。

ある国会議員の人が、議事後のインタビューで「これじゃ、自閉症になっちゃう」なんて発言していたけど、これも、イメージで自閉症を誤解している例。大体、「なっちゃう」ものじゃないからね。

英語ではAutismというので、誤解の心配は無いのです。
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# by gakuandben | 2006-03-23 14:58 | 自閉症に関して
ビギン・ザ・ビギン
自閉症自閉症自閉症自閉症って頭の中でぐぐると回ってた。

まだ、医者に見てもらう前だったが、日本滞在中に妻からの電話。
「ベンちゃんがさ、どうも自閉症っていわれる症状にそっくりあてはまるのよ。」
友人に言われてインターネットで調べてみたらしい。

すぐに本屋に行き、自閉症と書いてある本を何度も読み返した。何冊か買って、
何度も典型的な症状についたの説明を読んでみる。

人と目を合わせない、
呼んでも返事をしない、
一人遊びばかりで他の子供と遊ばない、
突然意味もなく笑うってこれ、


全部ベンのことじゃないかよ〜! 間違いなかった。

何度読み返しても同じ。また読んでみる、何か書いてあることであてはまらないことがあるんじゃないかという希望。だめだ、やっぱり間違いなくそうだった。

『自閉症は、先天的な脳の障害で、病気のように治ったりするものではありません』

『一生つきあってゆく障害であり、周りの人のサポートが大切です』ってこれ、
障害者のことだよね。
ウチの子障害者になっちゃうんだ。信じられないよ。
なんでウチの子に限ってこんなことになっちゃうんだよ。

これが、正直な最初の感情だった。

障害者というものが、それほどかけはなれたものだったし、
自分には全く関係しないものだと決め込んでいた。

僕は今、ベンを見て気持ち悪がったり、笑ったりする子を見て怒る気持ちはないよ。
だって、自分がそうだったから。

関わらないで良いなら、一生関わらないで生きていけたら良かった。
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# by gakuandben | 2006-03-21 16:09 | 自閉症に関して
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# by gakuandben | 2006-03-20 23:36 | このサイトへの連絡先
はじめまして
「Shut up over there !」

バスの中でおばさんがそう叫んだとたん、僕は反射的に言い返した。

「この子は自閉症なんだよ!たったの10ブロック乗るだけなんだから勘弁してよ。」

勉が8歳くらいの時だったかな?
バスを乗り換えたら、座った席の前に「マデリン」ていう勉の嫌いな絵本を読んでいる子がいたんだ。パニックに陥ってしまった彼は大きな声で独り言を言ったり、体を叩いてノイズを出したりとかなりヤバい状態。

こりゃまいったな〜と思った矢先のおばさんの一声だった。
とっさに口をついて出たのは、「しょうがないじゃないかよ」という、つもりにつもった感情が爆発したのかもしれない。

 いわゆるお坊ちゃんとして育った僕は、苦労することからは、基本的に逃げる方針というか、本能的に避けてしまう。でも、ベースを弾くという得意なことを見つけて、あっという間にお金を貰えるくらい上手になれたのは、ラッキーだった。
25歳で結婚して、90年にニューヨークに来た。1年もしないうちに、グリーンカード宝くじに当選して、そのまま住み続けることになり、勉が生まれたのはそれから2年後の93年の秋。

それから2年後には次男が生まれ、その後すぐに勉が自閉症であることを知らされる。それまでの人生からは考えられない突然の展開は、戸惑う間もなくスタートした。
それから10年、ニューヨークという街で音楽活動を続けながら、想像もしなかった障害者の親という立場になった自分の人生を振り返りつつ、そしてこれからの自分のために記録したいと思います。

「人に話すと気が楽になる」って良く言いますよね。


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# by gakuandben | 2006-03-17 01:34 | まずはここから読んで下さい